【07.02.01】藤井 博樹さん 人間らしく働きたい!!

「私たち使い捨てみたい」とつぶやく若者に希望を!

 
藤井博樹さんは、現在29歳、大学を卒業し住宅営業、コンビニストアーと働いてきました。「人間らしく働きたい」と願っている若者たちの苛酷な労働、生活の実態や政治、社会に求められることなど自らの体験を通して語ってもらいました。

藤井 博樹さん 
          1977年8月6日大阪生まれ。
         現在、コンビニストアーに勤務 

朝から午前2時過ぎまで働かされて

住宅営業の仕事をしていましたが、転職し、いまコンビニで仕事をしています。
住宅営業の仕事は、ほとんど休めませんでした。半年ごとに一人あたり1億五千万から2億円の売り上げ目標があり、2ヶ月間売れないと2タコ面談(2ヶ月ゼロ)といって、売れるまで本部長とズーと面談させられます。会社の社内掲示用ホームページには誰が何タコやったのか出されますから、相当なプレッシャーです。 

 大手の会社だとインテリアデザイナーや設計者に「皆様のおかげで食わしてもらっています」と土下座すると聞きました。
 朝は8時出勤、夜の9時に戻る人はほとんどなく10時半位になるとぼつぼつ戻ってきて、午前1時前で何人かが戻り、若手になると午前2時とか、月末では午前3時、4時まで三分の一は残っていました。残業代は営業手当にふくまれているので一切つきませんでした。 労働基準監督署がはいるという噂のあるときは、夜10時には一斉に帰り、朝の4時前にまた来るということをやっていました。業界全体がそういう状況です。

 高速道路を運転中に疲れて眠ってしまったり、どうしてこんなに働いているのだろうかと疑問に感じました。30・40歳になった時に、体力や精神的な不安があり、やりがいはあったのですが、2年目に会社を辞めました。私より1年、2年、3年上の先輩は、私が辞めるときには全員辞めていました。営業部百十人採用されましたが、2年目の同期会には40人がやめていなくなっていました。

150社エントリー、面接100社以上、内定を貰えない人も

いまは、コンビニに本部員として勤めています。
 昨年の4月、2年ほど働いていたスタッフさんがアルバイトをやめたい、その前に有給をとりたいと請求をしました。会社の雇用契約書にも半年働いたスタッフには有給を定めた契約を交わしているので、会社の地区事務所に申請しました。金額にすると9万から10万の売り上げにあたる有給になるのですが、「誰の許可か。認めん。利益を10万上げるにはおにぎりを何個売らないといけないのか分かっているのか」と言われました。でも当然の権利ですから、本社にも問い合わせして確認し、申請は通りましたが、そのときの上司からのメールは「おまえら社員とスタッフがどれだけ仲がいいのかよく分かった。次の夏の査定、移動を楽しみにしておけ」と脅されました。

 「店長には、言いづらい」「やめるのに有給をとるのは」などアルバイトで有給がとれる事を知っているスタッフさんはほとんどいません。そのことがあってから、結構みんな有給をとるようになりました。でも、異動するまでたいへんでした。社員を並べて2時間ぐらい説教、廃棄のヨーグルトを足下へ投げつけるとか、一時期、何かあれば録音をとマイクを隠して仕事に行っていたこともありました。

 たとえばミュージシャンになりたいというように夢を持っていて派遣を選んだ人は、ほんとうに生き生きとして働いています。その一方で、就職先を150エントリー、面接だけでも100社以上したのに一社も内定をもらえず、4月からとりあえず実家へ帰って派遣労働者になるという人がいるのもまた事実で、そういう人に政治の話をしても変わらないとあきらめている人が多いです。そこがとても残念です。

夢や希望がもてず挫折していく若者たち ちゃんとわかって!

20歳の派遣労働者は、二週間前にはスーパーの警備のバイト、先週はドーナツ屋さんでレジを打ち、今日初めてコンビニのレジにきたと話してくれました。「最初はいろんな職場に行けていい経験になるとおもって応募したが、いまは使い捨てみたいだ」と話してくれました。深夜にペットボトル24本で一箱12キロの箱、40箱を一気に箱から開けて棚に並べるのです。若者が1、2人でまわしていますが、2年位すると腰痛になり、本当にたいへんです。夢をもって働ける状況にはありません。

 いま、就職先がありません。夢や希望よりも、とりあえず就職しようと、でも入ったのはいいけれど、そこでうまくやれずに挫折して、どんどん、どんどん若者がつぶれていくんです。年配の方から見たら「最近の若者は根性がない」といって、切り捨てられますが、そこの温度差みたいなものをちゃんと分かってあげないと若者はどんどんだめになっていくし、増えていくと思います。「育ててやろう」という大人の暖かな眼差し、支えが必要だと思います。会社の研修期間は、短くすぐ実践に送り込まれます。それでうつ病になったり、苦情の対応にどうにも手に負えなくなってしまいます。

 若者の責任ではないのに、就職が出来ないこと、フリーターなのは自分の責任と感じて、おいやられている人が大勢います。今いわれている「再チャレンジ」も政府自身が若者を使い捨てにする状況をつくっておきながら、「しかたがないからチャレンジできる場をつくってあげるよ」みたいなことを言うのは政治家として本当に許せないです。「美しい国」が聞いて呆れます。 いま若者たちの現状を見ないふりばかりして「自己責任」で済ませようとしていますが、こうした政治を変えていかないといけないですね。

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