【15.02.10】社会福祉法人攻撃は「権利としての社会福祉」の否定

藤原佳子(全国福祉保育労働組合東海地方本部書記)

 
 厚労省「社会福祉法人在り方検討会」は2014年7月4日報告書を公表しました。
 第4部「社会福祉法人の今日的役割」の第1に「社会福祉制度のセーフティネットとしての役割」とあります。「セーフティネットとしての社会福祉制度の役割」ではありません。第5部で、「社会福祉法人は、制度や市場原理では満たされないニーズについて率先して対応していく『地域における公益的な活動』が求められている」と導き出し、補助金や税制優遇を受けているのだから還元せよ、と記しています。
 「地域公益活動」の例として、就労訓練事業(「最賃」以下でも働かせて良い中間的就労)や刑務所出所者への福祉的支援等々が上げられています。
 本来国の責任で行うべき社会福祉を、制度の枠外のまま、低額か無料で社会福祉法人に義務化するのです。報告書は、社会福祉法人には莫大な「余裕財産(いわゆる内部留保)」があるというバッシングの流布とセットです。 しかし、多くの社会福祉法人は、土地建物分・運転資金などを除けば内部留保などほとんどありません。「地域公益活動」は、赤字であっても全ての社会福祉法人で義務化されます。活動は人が行うものですし、初期費用も維持費用もかかります。結局は本来担っている福祉事業から人もお金も流用する事になり、職員の実質的減少・過重労働につながります。福祉職場の処遇改善に逆行し、支援の質の低下は免れません。利用者・労働者の人権を低く見積もった「権利としての社会福祉」の否定です。
 社会福祉法人だけの問題でなく、この国の社会福祉の在り方、国民一人ひとりの生存権保障の問題です。3月1日の学習会に是非ご参加下さい。

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