【16.09.10】相馬 伸郎さん――自由・権利は国民の不断の努力で 今そのとき―「ディゴニア(奉仕)に生きる教会」をめざして

 
相馬 伸郎 さん
1960年生まれ。88年神学校卒業後、緑区で開拓伝道に従事。94年当教会設立。現在に至る。愛知県立芸術大学非常勤講師、「のぞみセンター」(宮城県山元町の被災者支援センター)理事長、教会学校教案誌編集長他

名古屋岩の上教会は

 1994年、開拓伝道として、小さなビルの一室で私たちの教会ははじまりました。 
「名古屋岩の上教会」は、プロテスタントの教会で、「日本キリスト改革派教会」に所属しています。岩の上というのは、イエスキリストがマタイによる福音書16章18節で、「私はこの岩の上に私の教会を建てる」とおっしゃった言葉に基づいています。「岩」とは、イエスを主と告白する群れであり主イエスご自身をも意味しています。「ここに神の教会を、ここにキリストだけを主と告白する慰めの共同体を形成させてください」と出発しました。  
 今も、この祈りと志を正面にかかげつつ、主イエスのご命令に従って「ディアコニア(奉仕)に生きる教会」を目ざしています。

名古屋岩の上教会のHPは こちら http://iwanoue.com/category/activity/

教会の責任と使命

 戦争法案が出されたとき、大変な危機感を持ちました。
どんなことがあっても抵抗しないといけない。革新懇の方々や9条の会の方々を知っていましたが、行動のある日曜には礼拝と重なり、応援をしながらもコミットできませんでした。
 私たちは、被災者のことも、沖縄のことも、この街に住んでいる方々のためにも日々、お祈りしています。それが教会の責任であり使命です。
 しかし今、一緒に歩き、声をだし、伝えないといけないと思わされました。こうして2015年7月5日、教会の会議の決議のもとに「政治的ディコアニア室」をつくりました。ディアコニアとは奉仕という意味のギリシャ語で、弱くされている人々と一緒に生きていく、たたかっていくことも「ディアコニア」なのです。3・11のときに「東日本大震災ディアコニア支援室」を作ったことと同じ発想です。
 こうして地域の国道302号の交差点にスタンディングをするようになり、平民懇の方々も加わって下さるようになりました。
 市民のひとたちが矢面に立っておられるのに、私たちが立たなければなんのための教会なのだ。この街にすんでいる人々を、教会は盾になって守らないといけない責任があると考えたわけです。
 「戦争法を許さない緑区の会」は、教会として参加し、むしろ私たちとしては主催団体だという意識で取り組んでいます。継続してやらないといけないと思っています。

日本国憲法を根付かせるチャンス

 「市民と政党との共闘」、育てていきたいですね。権力は、この「目覚め」を、力で抑え、共謀罪などで脅かせば封じられると思っているわけですが、これからですね。むしろ今こそ、日本国憲法が国民に根付くチャンスですね。
 SEALDsの中心となった奥田愛基さん、彼の父は牧師さんです。奥田さんの学ばれたミッションスクールでは、自分の言葉を編んで、心の奥深いところをみんなの前で表明する「感話」を行うそうです。そういうところで学んだ人たちが、自分自身の言葉を編んでいった。そして広がった。牧師として嬉しいです。
 私たちキリスト教は「孤独に思考する」、「神様の前に一人でたつ」といいます。聖書は、神は唯一のお方だと言います。人間とは、この神に造られ、愛され、まさに唯一かけがえのない存在なのです。だから、自分らしく生きていいし、自分として生きなければいけない。日本国憲法はそれを保証しています。その意味で、キリスト教会は憲法に基づく政治を行わせるために、もっと声を挙げなければならないと思います。

スタンディングで謝罪

 最初に行ったスタンディングでは、スピーチもしました。最初にお話ししたのは、「謝罪」です。日本の教会が戦争に協力した罪です。これは日本のすべてのキリスト教会が負っています。戦争推進団体になってしまった。ほとんどの宗教団体がそうさせられたと言いますが、私から言いますと率先してなった部分も強いんです。国家から認知され、評価されようとして、体制側になろうとしたのです。
 この恐ろしい罪を犯して戦争推進団体になったことの謝罪、岩の上教会の原点でもあります。
 「知らされていなかった」と言うのですが、今も、同じかもしれません。知らなかったと、だから自民党に入れてしまったと。でも、本当に情報を手にいれようと思えば出来るのです。被災地の福島は、日本ですから行こうと思えば行くことが出来ます。海外のメディアが報道しているのに日本では報道しない。日本のメディアは後退しています。巻き込んでいかないといけません。私たちの教会は福島の被災者の生の声を聞いています。その嘆きや怒りをもっと外に発信しなければと反省しています。

戦前復帰に対抗し「不断の努力」を

 安倍さんのやろうとしていることは戦前に復帰させるということです。その背後に日本会議という団体があります。彼らはずっと草の根で組織を拡大し、靖国法案以外の政治的課題は全部成就させました。元号法、国旗国歌法、教育基本法の改悪もそうです。日本は悪い戦争をしたのではなかったと言うことを本気で考えている思想です。対抗しないといけませんね。
 「不断の努力」によって、憲法に基づく政治をさせること。そもそも憲法違反の法律は、無効であるので従わなくていいのです。そのことが多くの人々にとどいていないですね。いろんな表現や活動で事を進めていきたいです。 
 「戦争法を許さない緑区の会」をこれまで以上にその枠をひろげていきたい。
 「信教の自由」がどれほど大切であるか。人権とは、信じた通りに生きる権利のことです。生まれ来る子たちも享受すべき人類永久不変の権利です。
 「心の中では何を考えてもいいが、行動するな」ということは、人間の破壊です。わたしは聖書によって初めてこれを知りました。たてつくときにはたてつかないといけない。
 今がそのときです。

このページをシェア