【20.02.10】ペシャワール会・名古屋 五井泰弘

中村哲医師を惜しむ

 アフガニスタンの復興に取り組んできた中村哲医師が昨年の2019年12月4日、アフガニスタン東部のジャララバードで武装勢力からの銃弾を受け、帰らぬ人となりました。
 職員1名、警護4名のアフガニスタン人も犠牲となりました。痛恨の極み、深い悲しみと惜しんでも惜しみきれない気持ちでいっぱいです。
 アフガン難民支援、ハンセン病根絶を担いパキスタンのペシャワールに赴いたのが1984年でした。
 以来36年間にわたりアフガンで医療、灌漑水利、農業の各事業を進めてきました。中村さんは「共に汗を流す」気持ちで、人々とは生活と仕事を通じて信頼を得る現場主義の人、年間の大半をアフガンで過ごす方でした。「ドクター中村」と周りから慕われ、笑顔と優しさがありました。
 一方では空爆下の食糧配給、大干ばつで荒廃する農地、用水路での洪水被害など幾つもの困難に直面するものの、中村さんは冷静沈着な精神と強い信念で切り抜けてきました。
 そしてアフガンは見事な「緑の大地」に蘇りました。
 今後、ペシャワール会は事業の全てを継続していきます。
 また中村さんが望んだ希望や想いも引き継ぐ決意です。
 中村哲さんは常々、豊かさの不公平、紛争地で流れる多くの血に心を痛めておられ「平和を願い、憲法9条を守る、自衛隊の海外派遣を許さない」立場は鮮明にしていました。
 中村さんが残したものは計り知れません。私たちの財産として受け継いでいきます。

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